ABL普及・啓発コンテンツ
基本編

ABL普及・啓発コンテンツ基本編
[基本編]
1.1 Q ABLとはどんな仕組みですか?
A
  • ABL(動産・債権担保融資)では、企業の事業活動を形成する、在庫や売掛金、機械設備等を担保に取得します。
  • ただし、借り手は、通常の営業の範囲内で、事業資産の使用、処分が自由に行えます。
  • ABLは、事業の継続を前提とし、貸し手がその事業価値を見極めた上で行う融資であり、リレーションシップバンキングの実践に有効な手法です。
ABLの考え方
ABLの考え方
さらに詳しく知りたい読者のために
[基本編]
1.2 Q 動産・債権とは何ですか?
A
  • 動産は、不動産以外の有形資産のことで、在庫や備品、機械・設備等のほか、家畜や養殖されている魚等も含まれます。
  • 債権は、一般に、売主が買主に売買代金の支払を請求する権利や、買主が売主に対して商品の引渡しを請求する権利などのことをいいます。
  • 企業のバランスシートの中で見ると、動産としては主に棚卸資産(在庫)や機械・設備等があり、債権としは主に売掛金があります。
  • 動産は、不動産と比較すると、文字通り「動く」こと、そして、様々な物品が含まれるため評価の方法や専門家も多様である点などが異なります。
企業のバランスシート構成 (全産業)
企業のバランスシート構成 (全産業)
さらに詳しく知りたい読者のために
[基本編]
1.3 Q 不動産担保との違いは何ですか?
A
  • 不動産担保には抵当権が利用されますが、動産には、抵当権がありません。
  • 他方、質権は、物件が貸し手に引き渡されることになるため、借り手は事業が継続できなくなり、ABLには不向きです。
  • このため、動産には譲渡担保が用いられます。
  • 譲渡担保には、譲渡がなされた事実を示す動産(債権)譲渡登記が利用できます。
  • ただし、「譲渡」ですので、担保権に順位をつけて登記をすることができません。
担保権の種類
担保権 物的担保 約定担保 質権
抵当権
根抵当権
譲渡担保
所有権留保
法定担保 先取特権
留置権
人的担保 保証・連帯保証

(出所)動産・債権等の活用による資金調達手段〜ABL(Asset Based Lending)〜テキスト 一般編より。「債権の管理・保全・回収マニュアル」(花井正志著)を参照し作成。

さらに詳しく知りたい読者のために
[基本編]
1.4 Q 売掛金は資金調達の手段になりますか?
A
  • 中小企業の重要な資金調達手段であった受取手形は、減少の一途をたどっています。
  • こうした中、売掛金が、動産と同様に譲渡担保を利用することで、資金調達の手段になる点は注目です。
  • 従来、売掛金の譲渡を第三者に対抗するには、支払人への通知または支払人の承諾が必要であり、これによりお得意先が警戒するのではないかという風評懸念が指摘されてきました。
  • しかし債権譲渡登記制度を利用することで、借り手(担保提供者)は、販売先等に通知することなく、担保権の設定を行うことが可能となりました。
受取手形と売掛金 (金融保険業を除く全産業)
受取手形と売掛金 (金融保険業を除く全産業)
さらに詳しく知りたい読者のために
[基本編]
1.5 Q どんな企業にメリットがありますか?
A ABLは、基本的には、健全な経営を行い、担保に適する資産を持つ企業であれば、その対象になるといえます。その具体例としては、次のような企業が挙げられます。
  • 対象となる流動資産の規模が大きく、運転資金の調達ニーズも大きい企業
  • 生産設備やレンタルなどの目的で使用する機械設備や器具が、汎用性が高く、また保有規模が大きい企業
  • 財務データ(売上や利益率など)が何らかの理由により悪化し、この結果一時的にせよ通常の融資を受け難い状況にある企業。
企業の成長局面とABLの関係(概念図)
企業の成長局面とABLの関係(概念図)
さらに詳しく知りたい読者のために
[基本編]
1.6 Q どんな担保物件が適していますか?
A
  • 物件がABLに向いているかどうかは、たとえば以下の3つの視点でみることができます。
    @<評価>合理的かつ客観的な評価が可能かどうか、
    A<管理>担保設定後、その管理や実査が容易か、
    B<換価>換金が容易(可能)かどうか、といった点です。
  • 在庫でいえば、汎用性が高い原材料や、貴金属等中古市場が整備されている商品などは、評価や換価の点で向いている場合が多いといえます。
  • 機械設備では、汎用性の高い建設機械や工作機械なども適している場合が多いでしょう。
ABLに適した物件かどうかの視点(在庫の場合)
評価の基準 上流 下流(リテール)
ABLの プロセス モノ(動産)の適性 天然 素材 冷凍 水産物 穀類 貴金属 ブラント 品
評価 価格の透明性がある
標準化されている
管理 倉庫で保管しやすい
容易に持ち出しにくい
換価処分 市場、中古市場がある

(出所)動産・債権等の活用による資金調達手段〜ABL(Asset Based Lending)〜テキスト 一般編

さらに詳しく知りたい読者のために